ドローン測量を導入している企業が急速に増えています。
ドローンは小型の無人航空機(UAV)の1つであり、上空を飛行させることでさまざまな活用をすることが可能ですが、中でも測量の分野ではこれまでの方法と比較して精度、作業時間、コスト、安全面などに対してのメリットが大きく「自分たちも導入しようか」と検討している会社も多く見られます。
そんな中、「ドローンでの測量は一体どれくらいの高度まで飛ばすことが出来るのか?」という疑問の声をよく耳にします。
そこで今回の記事では、そんな皆様に向けドローン測量における高度についての情報を中心に解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。
ドローン測量で飛行可能な高度は法律で決められている
ドローン測量で飛行できる高度というのは、そもそも製品によって設けられている”機能上の高度”(「航行限界高度」等の言葉で表示されています)と、”法律で定められている高度”があります。
機能上の高度
ドローンは機体の性能によって飛行出来る高さは異なりますが、一般的には数kmと言われています。
ここで言う飛行できる高さというのは、天候や風、建物などの障害物などがドローンにとって飛行しやすい状況、環境でドローン飛行の技術を持った操縦者が飛行させていることを条件とした数値であって、実際に測量の際にこの航行限界高度まで飛行させることが可能とは限りません。むしろそこまで飛ばせることは滅多にないでしょう。
また、安全性を考慮して機体が最高高度まで上昇しないよう自動で制御をかける設定がされている機種もありますので、購入の際は確認することをおすすめします。
なお、スペックに表記されている高度は「海抜」である場合が多いのですが、地上高とは異なるので注意しましょう。
法律上の高度
測量も含め日本でドローンを飛行させる時に無許可で飛行させることが出来るのは、「地上高150mまで」と航空法により定められています。
「海抜」ではなく「地上」からの距離ですので計測する位置は地形によって高度は変化することに気を付けましょう。また、150mを超える場合には必要な場所へ申請や許可を受ける必要があります。
ちなみにこの法律の対象は2023年現在100g以上の機体とされており、100g未満の機体に関しては適用されません。
ドローンの飛行制限内でも測量は可能
上記のように無許可でドローンが飛行できる高度は地上150mと定められているわけですが、これでも十分測量に必要な空撮を行うことは可能です。
搭載しているカメラの視野角度を90度で計算すると高度の約2倍の範囲を撮影することが出来ますから、例えば高度100mで飛行させたとしても200mの範囲で撮影できるわけです。
また150m以上の高度で飛行させたい場合、申請や手続きに結構な手間がかかりますので、本当にその高度を飛ばす必要があるのかよく検討してから決めましょう。
ドローン測量の目的と主な流れ
それでは次にドローン測量の概要と手順について説明していきましょう。
ドローン測量とは
そもそもドローン測量というのは、上空で写真撮影を行いその複数の空中写真から専用ソフトで3Dデータ(点群データ)を作成する方法で、業務の効率化や生産性を向上させることを目的としたものです。
そのため、測量の準備や作業の工程も従来の手法との違います。
また、画像のオーバーラップ(ラップ率)は縦方向80%以上、横方向60%以上と推奨され、作成した点群データは座標の情報から区間の距離、高さ、体積の算出や3Dモデル化、図形の作成などに利用することが可能です。
ドローン測量の手順
1.現場と空域の確認
現地の状態、飛行禁止空域ではないか、電波状況は問題ないか等を前もって調査します。
2.飛行ルートの計画
高度、カメラの角度、速度、明るさ等の設定も。国土地理院が公開している「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」を基本にルート計画を立てましょう。
3.GCP(対空標識)の設置
標定点、検証点の測定を行い設置します。
4.ドローンの自動飛行、撮影
機体やバッテリー残量など点検し、決められたコースでラップ率を保ち撮影を実施します。
5.専用ソフトウェアで写真の解析
点群データやオルソ画像を使って実測値と比較し検証を行います。
6.図面の作成
7.成果品データ作成
8.納品、完了
まとめ
以上で紹介したように、ドローン測量における高度には機体の性能によるものと法律で定められた基準があります。
撮影する標高が高いほど良いというわけではありませんので安全に測量を行えるよう管理し、ルールを守って飛行させましょう。
また、ドローン測量は建設業界の他さまざまな分野で用いられていますが、それに合わせてドローンの操縦やソフトの操作などを行う人の育成も重要となってきます。
これから更にドローン測量の普及は進んでいくと考えられますので、使用に関するルールの変更やサービスなど最新の情報をチェックしながら上手に活用していきましょう。
他にもドローンに関連した情報をブログで発信しておりますので、合わせてご覧いただければ幸いです。