ドローン測量は従来の方法と比較して精度の高いデータを安全に取得することができ、大幅な業務の効率化にもなるため、建設現場やスポーツ、災害時などさまざまな分野や用途で導入する会社が急速に増え注目されています。
そんなメリットの多いドローン測量ですが、導入にあたって知っておきたいデメリットというのもいくつか存在しています。
そこで今回の記事では、ドローン測量におけるデメリットについて解説してまいります。
これ等を理解した上で便利にドローンを活用いただけるよう、皆様の手助けになればと思います。
ドローン測量とは
これまでの測量というと、光波測距儀を使い人が移動しながら測量を行う方法や、航空機とパイロットを手配して上空から測量を行う方法が用いられていました。
ドローン測量はこれら従来の方法と違い、目的の現場の上空へ飛ばしたドローンから地上を撮影し地上の形状を計測するもので、ヘクタールを超える範囲であっても短時間で完了することが出来る新しい測量方法で今、広く普及しています。
レーザーを地表へ照射して反射した光線の情報を基に地表との距離を測定するレーザー測量を使った場合は点群データを得て、各点で位置と高さを計測し3次元データを取得することも可能です。
ドローン測量のデメリット
それでは早速、ドローン測量において考えられるデメリットを紹介していきましょう。
バッテリーによって飛行時間が左右される
ドローンはバッテリーによって動かしているため、当然ながらバッテリーが切れたら飛行を続けることが出来ません。
空撮する範囲がバッテリーの対応時間を超えている場合は、あらかじめ予備のバッテリーを準備しておき途中でバッテリー交換を行わなくてはならず、その分の手間と時間がかかってしまいます。
そのため、広範囲な撮影を行う際はそれを踏まえてスケジュールを立てる必要があります。
2023年現在、一般的なドローンのバッテリーの持ちは長くて30分~40分程度となっていますが、ドローンの需要が高まっている中でバッテリーの機能を向上させる研究や商品開発が急速に進められておりますので、今後はもっと長い時間飛行できる製品が登場する可能性が高く楽しみですね。
飛行許可が必要となる
ドローンはどこでも飛ばして良いわけではなく、さまざまな法律やそれぞれの自治体で決められた制度により、飛ばすことができない場所や事前に許可を取らなけれならない場所もあります。
例えば小型無人機等飛行禁止法では国会議事堂や皇居、最高裁判所など国が指定する重要施設とその周辺、対象施設の地域または区域およびその周辺おおむね300mの地域上空については飛行禁止エリアとして指定されています。
また、航空法では人口集中地区や物件から30m未満、空港周辺の上空などは事前に許可申請し飛行許可の取得が必要で、承認なく飛行させた場合は罰金や懲役が課せられることもあるので注意が必要です。
場所以外にも夜間飛行や目視外での飛行、イベントが行われている場所の上空、危険物の輸送といった飛行方法についても規制がありますので、測量の際は現地までのルートを含め飛行の可否や申請の要否、飛行できる高度、定められたルールについてしっかりと確認することが大切です。
操縦技術が必要となる
ドローン測量を行うには、まずドローンを安定した状態で飛行させることが出来る操縦技術が必要となります。
近年はドローンの性能も上がり、手動での操縦は不要で簡単な操作や自動で飛行可能なモデルもたくさん出てきましたが、いずれにせよ安全かつ精密なデータを取得するためには基本的な操縦技術、そして関連する知識は必要です。
ドローンの技術を高めるためにドローンスクールや講習に参加することもおすすめです。
ドローンの操縦に免許は必要ありませんが、無人航空機操縦者技能証明書や無人航空機操縦士、測量士の資格を取得することで特定飛行に対する免除や、就職や仕事を請負う際に有利に働いたりというメリットもあります。
国土地理院は、ドローン測量で使用できるよう「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」及び「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」を作成し公表しています。
また、これらのマニュアルは「国土交通省が進めるi-Constructionに係る測量作業において適用することを前提にしており、測量業者が円滑かつ安全にUAVによる測量を実施できる環境を整え、また、建設現場における生産性の向上に貢献するもの」としています。
精度確保のための基準や作業の手順の流れなども定めていますので、導入する際は必ず確認しておきましょう。
場所や地形によって正確な測量ができないことがある
ドローン測量は、地上で人が機材を設置して実施する方法では立ち入ることが出来なかった崖などの危険な場所でも映像や写真などの画像を撮影することが可能であるという点が大きなメリットの一つです。
また、セスナ等の航空機よりも低空飛行で測量が行えるため、高精度で高品質な3Dデータを取得できることも特徴です。
しかし、山など上空から地面が見えない場所で測量を行う場合、木々の高さから計測をするために正確な測量とならない可能性が大きいというデメリットがあります。
天候に影響される
ドローンは天候に大きく影響を受けます。
精密機械であるため雨に弱く、雨の日に飛行させてしまうと浸水してしまう可能性があったり、風が強い時には操縦が難しい状況になり事故の原因となるケースも少なくありません。
先述したマニュアルにも「 雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない」と書かれています。
また、飛行中に天気が急変する場合もあります。
飛行スケジュールを立てる際には天気予報の確認も必ず行い把握しておくことも忘れないようにしましょう。
初期費用がかかる
自社でドローン測量を行う場合、機材やソフトなどを購入しなければなりません。
具体的にはドローンの機体、搭載するカメラ、レーザー測量を行うならセンサー、3Dモデルや断面図の作成、解析するための専用のソフト等。
また、機器以外にも先にも説明した通り操縦に必要な技術を習得するためのスクールや講習費用も必要となります。
これらを合わせるとざっと300万円以上かかり、更にレーザー測量では装置が1,000万円以上と高額な費用がかかることもあります。
実際にドローン測量を行うと、これまでの方法と比べ業務の時間を短縮、例えば丸1日かかっていたものが半日へと短縮したり、人件費など全体的なコストを削減することが可能ですが、このように初期費用としては大きなお金がかかってしまうことはデメリットでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
ドローン測量には多くのメリットの他にいくつかのデメリットも存在しています。
測量を行う場所によっては許可が必要であったり正確な測量が行えない可能性があること、操縦技術がないと効率良く安定したフライトが行えないことなどを踏まえ、それに合わせて測量方法を選ぶこと、そして事前準備や機体の点検を徹底して行うことが重要です。