ドローンを民家の上に飛ばしても大丈夫?権利と法律について解説します

ドローンは2022年現在、産業や工業用としてだけでなく趣味として活用されている方も多くいらっしゃいます。

ドローンはどこでも飛ばして良い訳ではなく周囲に安全な飛行を行うことを目的に航空法や道路交通法、電波法など様々な条例や法律があり、それらを守って操縦しなければなりませんが、空の上に関するルールの知識がなく、理解しないままドローンを使用している操縦者も少なくありません。

そこで今回の記事では、特に分かりにくい「民家の上」等、他人の所有する土地の上空での飛行ルールについて説明します。

民家

ドローンを民家の上に飛行させる際に知っておかなければならない権利や法律

ドローンを屋外で飛ばす際に日本ではさまざまな法律や権利について理解する必要があります。

その中で特に重要な「土地所有権」と「航空法」について紹介していきましょう。

土地所有権

その名の通り土地を所有する権利で、所有者はその土地を自由に使用することが出来る=他人が勝手に使用することは出来ない、という物です。

土地所有権が適用される範囲は民法においてその土地の上下に及ぶと定められており、上空も対象となります。

つまりドローンを飛ばす場合にも民家の上など他人の私有地の上を飛行する際には所有者の許可が必要ということになりますが、地下や空域において無制限に権利を認めてしまうとドローンだけでなく飛行機や航空機、公共工事などにおいても許可を得なければならなくなります。そのため、以下のような制限がされています。

■土地収用法による制限

国や地方公共団体が一定の条件下で他人の土地を公共の利益のために使用することができるという法律で、土地所有者の承諾がなくても土地収用法に沿った手続きがされていればその土地の所有権が国・地方公共団体に移ります。

■都市計画法による制限

街を計画的に作るための法律で都市計画法の区域内に土地を所有している場合、建てられる建物の種類が限定されていたり建物を建てることが出来ない等、土地の利用について制限されます。

土地所有権の主張を認める必要がない場合と航空法

「一定の深さ以上の地下はすべて公共性の高い事業での使用を可能とする」と特別法において定められていますが、上空に関しては法律による制限以外に特別な規定は現状ありません。

しかし無制限に所有権を認められるわけではなく、一般的に「利益の存する限度」において認められるとされています。これは土地所有権の主張が認められたとしても、”所有者に利益がない場合、主張を認める必要が無い”と見なされるということです。

「利益の存する限度」は航空法において定められる「最低安全高度」が目安となっており、市街地などの建物が密集しているエリアや地域、人口集中地区では600mの範囲内で一番高い建物の上端から300m、それ以外の場所では地上150mとされている。最低安全高度以上の高さで飛行する場合は土地の所有者の許可を得る必要はありません。

一方、ドローンの飛行については空港やその周辺などの飛ぶことを禁止されている場所や飛行の方法などが航空法で規制がされていますが、飛行高度については「上空150m未満であればドローンを自由に飛ばすことができる」と定められています。そして150m以上の上空で飛ばす場合は国の許可を得る必要があります。

それではこれに違反しなければ民家の上でもドローンを飛ばしても良いかというと、航空法と民法での土地所有権は別の問題となっていて両方を守る必要があるのです。

また、ドローンの飛行は原則、機体を目視できる距離で操縦することが求められていますが、広い区画でカメラの映像などを見ながら操縦する目視外飛行を行う場合には、バランスを崩しやすく落下の危険性も伴います。そのため、飛行許可申請を出した後に国土交通省の許可を取得する必要があることも忘れないようにしましょう。

ドローンを民家の上で飛ばす時には許可を得るのがベスト!

以上のように民家の上など他人の土地でドローンを飛ばしたいけれど土地所有権を考えると所有者の許可を得る必要があります。

しかしビジネスなどでいくつもの区画に渡って飛行が必要な場合、現実的にすべての土地所有者に許可を得るという行為が簡単ではない、という業務の問題が出てきます。

そんな時にはどうしたら良いでしょうか。結論から申しますと、現行法上は面倒でも飛行ルート上のすべての土地について所有者や管理者の許可を得る必要があります。

この問題をクリアするために150m未満での飛行であっても土地所有者に対して事実上の不利益がなければ土地所有権が及ばないという理由に基づく考えや、航空法に従って国の許可や承認を得てドローンを飛ばすことで土地所有権を無とする主張もありますが、これらは現行法上認めれている訳ではないのでやはりトラブルの防止や権利の侵害をしないよう、すべての所有者から許可を得ることがおすすめです。

違反した場合は重大なペナルティが科せられる可能性も

ドローンを無許可で民家の上など他人の土地の上で飛ばしてしまった場合、民事上と刑事上のペナルティが科されるリスクがあるため注意が必要です。

民事上では損害倍書の請求や飛行の差し止め。小型カメラによる写真や動画など空撮で撮影が行われている場合「盗撮」にあたり迷惑防止条例違反となる可能性があります。この場合、最大2年の懲役、最大100万円の罰金が科せられます。

また、刑事上では住居侵入罪として最大3年の懲役、最大10万円の罰金が科せられます。

「知らなかった」では済まない重い影響を受けますので、今後ドローンを飛ばす予定や仕事がある方は事前に関連するルールの内容をよく確認し情報を得て、法令を遵守し必要に応じて許可の申請を行うことが非常に大切なポイントです。

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